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「国立国会図書館法」では「文化財の蓄積及びその利用に資するため」全ての出版物を
国立国会図書館に納本するよう義務付けており、漫画もその例外ではない。どんなマイナーな
作品でも18禁の作品でも、全ての作品は国会図書館に納められている「はず」だ。
ところがネット上では「多くの人気漫画のコミックス(単行本)が、国会図書館に入っていない」
との指摘が上がっている。中にはアニメ化された作品や国際的に評価が高い作品もある。
「漫画大国」の貴重な「文化財」が、将来に伝えられないおそれさえ出ている。
■ 中堅出版社ではコミックスの未納が慣行
国会図書館への納本は普通、出版社、あるいは取次会社によって行われる。たとえば
集英社では取次会社を通じて全ての書籍・コミックスを、国会図書館に納めているという。
では中堅の出版社のものはどうか。国会図書館の蔵書検索で調べてみると、「よつばと!」
(アスキー・メディアワークス)、「ひだまりスケッチ」(芳文社)、「HELLSING」(少年画報社)、
「かんなぎ」(一迅社)といった人気漫画が全くない、あるいは一部の巻しか収蔵されていない
状況だ。人気漫画でさえないのだから、主に中堅どころの出版社から出たコミックスは
ごっそり抜け落ちているとみられる。
そこで芳文社、また少年画報社、一迅社に問い合わせると、いずれも「コミックスに関しては、
国会図書館からの指摘がない限り特に納本はしていない」との回答だった。
3社とも「特に理由はない」という。
取次大手のトーハンによれば「大手出版社では納本分をきちんと指定してくるところが多いが、
それ以外の出版社では特に雑誌・ムック・コミックスなどについて、納本への意識が薄い
出版社が少なくない」。中堅出版社ではコミックスについては、納本を行わないことが
かなり以前から慣行になっているらしい。芳文社の担当者も納本漏れの指摘に戸惑い気味で、
「よその出版社もされているようなら、今後は全出版物の納本も検討したい」
ちなみに「国立国会図書館法」では正当な理由なく納本を怠った場合、小売価格の5倍以下の
過料を課すと定めている。しかし今のところ実際に適用された事例はなく、あくまで出版社の
自主的な協力に委ねられていると言っていい。
■ ポルノ漫画も立派な文化財
こうした状況に、研究者は警鐘を鳴らす。筑波大学大学院図書館情報メディア研究科院生の
木川田朱美さんは2007年~2009年にかけ、いわゆる「エロ漫画」「ポルノ漫画」の
納本率について調査したが、実に8割もの作品が国会図書館に納められていなかったという。
ポルノ作品も現代日本が生んだ立派な文化財だと話す木川田さんは、「くだらないと思う人も
いるかも知れませんが、出版部数の少ない作品は国会図書館に入っていなければ、
未来の研究者や読者の手に届かなくなり、その存在自体がなかったことになってしまいます」
と指摘する。
国会図書館でも納本漏れを把握し次第、督促などを行っているというが、「ご指摘のとおり、
全ての本についてご納本いただけているわけではないというのが実情です」と話す。
また出版情報の把握も「完全」というわけにはいかないのが実情のようだ。
納本漏れが多発する現状には、「納本制度の趣旨である、文化財の蓄積と利用が十全に
果たせない恐れがあると考えております」と危機感を募らせており、今後も取次会社などと
「納本漏れ防止策」について協議するほか、「納本制度の周知広報」に努めていくという。
J-CAST
http://www.j-cast.com/2011/08/20104770.html?p=all
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